オリエンタルケア
訪問による施術を行っています(北九州市・福岡市)。

重力とともに生きる身体を、観る
人は、二本の足で立って生きています。
重たい頭をいちばん上に載せて、眼(視野)を水平に保つ。そんな、たいへん難しいことを、わたしたちは一生涯、何ごともない顔で続けています。
オリエンタルケアは、この「立って生きる」という人の宿命に、伝統の手と、いまの科学の両方から向き合う施術所です。
二本足で立つということ

立っている人を、一本の硬い樹木だと考えてみてください。かかとが少しずれただけで、頭の位置は左右に大きくずれてしまう。そのことは、簡単な計算でわかります。
けれど人の身体は、しなやかに、したたかに、そのずれを一定の範囲に収めています。かかと、足首、膝、股関節、骨盤の仙腸関節、背中の胸椎七番、首と胸の境目。力の集まりやすい場所で、筋肉や靭帯とともに、圧力を受けとめ、散らしているのです。
その無理が重なると、やがて、痛みとして表れることがあります。
それでも、これは身体の欠陥ではありません。
直す道が、いくつもあるからこそ、人は、どこかが傾いても、倒れずにいられる。
身体が、眼の高さを守ろうとして働き続けている。わたしは、その働きを観ることから、施術を始めます。
伝統の手と、いまの科学

わたしは平成5年に鍼灸マッサージ師の資格を得て、三十年あまり、手で身体に触れてきました。
はじめの十年ほどは、日本の伝統的な鍼灸を学び、経絡(けいらく)を手がかりに施術してきました。腰がつらい方でも、膝や足首の経絡の上に反応が出ることがあります。身体を、点(ツボ)だけでなく、線や面のつながりとして観る。その見方は、いまも、わたしの施術の土台です。
その後、訪問の分野で、手技を含めた施術を続けてきました。そのなかで、長く気になってきたことがあります。
- 経絡のつながりと、筋肉を包む薄い膜(筋膜)のつながりは、どこかで重なっているのではないか。
- 動かさない場所は固まり、動かすとほぐれていく。その「固まる」とは、身体の中で何が起きているのか。
- 鍼の先に、ときおり絡んでくる、白い糸のようなものは何なのか。
近年、筋膜のあいだの組織が、動かさないことで密になり、滑りにくくなるという研究が出てきました。膜と膜のあいだを潤す物質と、それを作る細胞のことも、わかってきています。わたしが手で感じてきたことに、少しずつ、言葉が与えられはじめています。
ただ、わたしが手で感じてきたことと、研究で確かめられたことは、同じではありません。つながっているように見えても、それはまだ、わたしの見立ての段階です。からだがどう形づくられてきたか(発生学)と経絡のつながりについても、同じ姿勢で考え続けています。
かかとから、全身を観る ── AGGT

いま、わたしの施術の中心にあるのが、AGGT(重力軸誘導療法)という、身体のバランスを観るための測定の仕組みです。
かかとは、重力と、それに抗う力が、ちょうど交わる場所です。後ろから足を写真に撮り、かかとがどちらへ、どれだけ傾いているかを、数字と図にします。
同じかかとの傾きでも、ある方は腰で、ある方は肩で、また別の方は首で受けとめます。受けとめ方は、人の数だけあります。ですからAGGTは、「かかとが何度なら、骨盤が何度」という一本の答えを出そうとはしません。その方だけの受けとめ方を、その方と一緒に観ていきます。
かかとの下に、わずかな補正を入れてみる。立ってもらう。前と後で、どう変わったかを、一緒に確かめる。何度も、身体と会話を交わしながら、その方が楽になれそうな向きを探していきます。
AGGTの考え方と、その根拠にしている研究は、研究用のサイトとnoteで、すべて公開しています。
歳を重ねることと、姿勢

歳を重ねると、腰の反りが減り、背中がまるくなり、上体が前へ出ていく傾向があると言われています。重力のもとで、二本足で生きる以上、誰もがその道を歩きます。
わたしが大切にしているのは、「動くこと」です。
歩くこと。立つこと。寝返りを打つこと。深く呼吸をすること。踵で地面を踏むこと。誰かに触れてもらうこと。
どれも、なにげない営みです。けれど、動かさない場所は固まり、動かせばほぐれていく。そのことを、わたしは、訪問先で毎日のように感じてきました。

おひとりで外出するのが難しい方のご自宅や施設にうかがい、その方が、その方らしく立ち、歩き続けられるように。それが、オリエンタルケアの仕事です。
お約束
わたしは、「治ります」とは申しません。
その代わりに、施術の前と後で、その方がどう変わったかを、一緒に確かめます。
確かめたことは、確かめたと書く。
借りているものは、借りていると書く。
分からないものは、分からないと書く。
言い切れないものは、言い切れないと、隠さずに書く。
これは、AGGTの約束であり、オリエンタルケアの約束でもあります。